緊急事態宣言の解除はいつか? 専門家会議のデータを読んで思うこと。

各国が、経済活動を一部再開している中、あと1ヶ月程度という案が政府から出ている。そりゃ、今の医療の状態で解除しろとは誰も言わないでしょう。

しかし、なぜ期間? 他国のように数値目標は出せないのか?

感染者数が少ない地域において、感染リスクが極めて低い、小学生の授業を、まだまだ止めることにどれだけの効果があるのか。

しかし、数値目標は危険。数値が独り歩きするから。

現在のコロナ対策の一つとして、人との接触を8割減らすというものがある。これは、ドイツの状況データを用いて、数理モデルのシミュレーションで導き出した数値。

これが、達成できれば終息するわけではく、比較的短期間に感染拡大を防げるかもしれないという数値でしかない。

そう、「かもしれない」なのであって、7割でも、9割でもできるかもしれないし、できないかもしれない。ただ、ドイツのデータを元に、みんなで実験してみようというものでしかなかった。

コロナ対策の手段の一つとして始まった、接触8割削減。

ところが、8割削減を呼びかけ続けているうちに、8割削減が目的化してしまっている人が多くなってしまった。手段が目的になってしまったのだ。

それが、達成されても、何の結果を残さないかもしれないのに。
それが、達成されなくても、結果が出るかもしれないのに。

専門家会議のデータ公開 

目的と化してしまった8割削減。その、データが公開された。

データの最後の考察には、こう書かれている。

接触頻度の相対的減少から、平日の接触が休日に比べて減少幅が小さいと認められた。また、地域全体の傾向として若年層に比べて中高年層の接触減少率が低かった。地域間の接触について見ると一定の接触削減効果がみられ、移動を抑制する取り組みが都道府県をまたいだ人の移動の低減に一定の効果があったと示唆される。ただし、隣接した都道府県間ではその減少率も限定的である。

これが、「考察」なのか?

考察には、続きがありデータの問題点を上げている。しかし、この問題点こそもっと考慮して、考察をまとめるべきなのではと思うのです。

朝日新聞デジタルのように結果を示しただけでは、読者は単に数字を受けとる。ここは8割達成して、ここは達成できていないと。

まず、どういうデータなのか、読者には伝わらない。いや、記者がわかっていないのかも。

データはドコモのデータで、500m四方(4次メッシュ)の1時間ごとの滞留人口を集計したものとなっている。500m四方に、ドコモの位置データがあれば、接触とカウントする。そういうデータだ。

駅周辺を計測するには、これでも良いと思いますが、少し離れたオフィス街になった瞬間、100m四方の5次メッシュを使わない限り、接触があったかどうかなど測れないのではないでしょうか。

さらに、もともと人が少なかった場所は減りようがないし、住宅地でも減りようがない。例えば、朝日デジタルにもある渋谷駅周辺のメッシュ。代々木公園は、観光地なので休日は-75%も削減しているが、平日は-51%にとどまっている。もともと平日には人が少ないのだから、大きく減るはずがない。それに、渋谷駅周辺の西側のメッシュは完全に住宅地ですから、ほぼ変化が無いのは当たり前。

丸の内や銀座のデータを見れば分かる通り、人が住んでいなければ8割削減はだいぶ進んでいる。平日はまだまだ、6割減にとどまっているデータではありますが、オフィスの延床面積も考慮すれば、まだまだ接触が削減できていないというほどではないのではないでしょうか。

8割削減が目的ではないのに。

このデータでいう8割削減は、人の移動の削減であって、接触の削減とまでは言えないのではないでしょうか。8割削減ということだけが目的化しているように見え、本来の感染拡大防止ができているかの判断がされていないように見える。

1人の感染者が何人に感染させるかを表す、実効再生産数は確実に下がっているのに、まだ8割にこだわる理由が、ちょっとわからない。初期の頃は、科学的根拠に基づいたものであった8割削減でしたが、1ヶ月経った現在においても、その科学的根拠が継続して存在しているとは限らないのではないでしょうか。

多分、緊急事態の継続の理由に、8割削減が達成していないことを、含めてしまうのでしょうけど、この事のおかしさを指摘する意見がもっと出てきてもいいと思うのです。

緊急事態宣言の解除はいつか。

わたしは、緊急事態の解除は、一番最後ではないかと考えます。まずは、条件付きの学校再開。そして、デパート等の人数制限などの条件をつけた再開。

飲食店でのお酒提供の緩和等々の後に、そういえば、まだ緊急事態宣言の発令中だったね、となるぐらい最後になるのではないでしょうか。

今の政府は、批判は絶対に受けたくない派という感じなので、専門家会議の意見の、より安全側の意見を取り入れて、緊急事態の解除はなかなかしないでしょう。

例えば、感染者1桁〜十数人になるまでとか。そうなると、梅雨明けぐらいですかね。