ローソンのプライベートブラントのデザインが叩かれている。
デザインに携わる人間として、見ていて辛い。
まあ、自分なんかは零細企業で、そんな大きな仕事はしたことないので、「羨ましいな」が常につきまとってしまうのですが。
そして、今回の炎上で、大勢の意見が見えてきましたが、今後のデザイン業界の発展に寄与していくといいなと思っています。まあ、自分は見ていて辛いが先行しすぎて、いろんな意見を見ずに過ごしてしまい、もったいなかったと後悔しているところです。
デザインに求める役割は?
今回の件ではなく、自分が関わった仕事について書いてみます。
よくあることですが、クライアントから求められるデザインは、「売れるもの」。デザインに投資することで、利益を出したい。ということです。
しかし、デザインには「売れる」という機能はないのです。「売れる」に寄せていくなら、「実際より良さげに伝える」ってところかな。
結局、色や模様、形といった「見た目」のデザインが中心になっていきます。
「見た目」のデザインを始めるにあたって、なぜ新デザインが必要なのかという議論が、通常はなされます。コンセプトがどうとか、ターゲットがどうとか、他社との差別化がどうとか。
そして、その議論にまず出てこないことが、現状の商品や過去の商品の問題点。売れる、売れないは、商品そのもののであって、デザインの良し悪しは二の次であるはず。しかし、商品を変更していくという手間はかけず、小手先の「見た目」の変更だけでどうにかしようという考えなので、問題点の洗い出をしない。
だから、デザインの方向性がなかなか決まらなかったりもする。結局、決定権者とのフィールング合うか合わないかで、デザインが決定されていくのです。何でデザインを変えたのと聞かれても、上から言われたからになっていくのです。
ローソンPBデザインで思ったこと。
見た目のデザインにこだわるのなら、そのデザインを優先して容器形状も変更させるのが理想である。しかし、そこはPB商品という性格上(既存の製品を自社商品として低価格で売る)、そういったことはできなかった。
でも、ローソンぐらいでかい企業ならもう少し頑張ってほしかった。「見た目」重視のデザインにする場合、最も邪魔なものは、食品表示を始めとする入れなくてはいけない文字要素やマーク類などなど。大きな企業なのだから、消費者庁に掛け合って、食品表示の一部をWEB上のみの表示でOKにしてくれないかとか頑張って欲しいところ。
まあ、そこまでしなくとも、既存の入っているものは全て入れてと丸投げではなく、必要な要素を全て洗い直し、最低限必要なもの、優先順位を調べ直してデザイナーに伝えたのか? もしくは、そこまで調査するだけの十分な予算を提示していたのか気になるところです。
日本における食品パッケージ
今後、来日する外国人はもっと増え、外国人のコンビニ利用はもっと増えるでしょう。そんな中での食品パッケージの議論。
わたしは、見た目のデザインの議論で終わってほしくないと思っています。せっかく、「NATTO」に中国語、韓国語と商品名を表示したのだから、内容物、添加物、注意事項までしっかりと、外国人にも伝わるデザインに昇華していって欲しい。
そのためには、どう考えてもデザインするスペースが少ない。だから、WEBの活用が重要であるわけです。WEBにかかれている内容なら、翻訳はスムーズに行われるので、いちいち何ヶ国語も表示する必要はないはずです。
食品表示のWEB化は、消費者庁でも議論されているようですが、もっと加速してほしいですね。来日外国人も、アレルギーや、宗教的食の禁忌、思想的食の禁忌など、安心して食事ができる、システムができることを期待しています。
そして、そういったシステム構築のほうが、本来の「デザイン」というものであるわけですし。